【最新版】AIの業界別・技術別活用事例を紹介!

昨今AIの開発・実用化が進み、私たちの日常生活にも広く使われるようになりました。AIというと、新しい技術のように思われがちですが、その歴史は意外に古く、1956年には、「人間の脳に近い機能を持ったコンピュータープログラム」と定義づけられました。その後2回のブームをへて、今は2000年ごろから続く3回目のブームのなかにあります。

AIは、現在あらゆる企業に求められるDX推進に必要な技術としても注目されています。この記事では、AIの歴史とDXとの関連を確認したあと、実際どのように利用されているのか、業種別・技術別に事例を紹介します。

AIの歴史と現状

AIは“Artificial Intelligence“の略称で、人工知能を意味します。実は明確な定義づけはされておらず、研究者がさまざまに表現しています。AIという言葉の生みの親である、アメリカの計算機学者ジョン・マッカーシーは、1956年に、AIを「人間の脳に近い機能を持ったコンピュータープログラム」と定義しました。

AIの歴史を簡単に見ていきましょう。

1950年代後半~1960年代に第1次AIブームが、その後1980年代に第2次AIブームが到来しました。

第1次AIブームでは、チェスや迷路などのゲームができるAIが開発され、第2次AIブームでは、特定の専門分野で専門家のように判断できるシステムが開発されました。

その後も研究・開発は進められ、現在は、2000年代に始まった第3次AIブームのなかにいる状況です。

第3次AIブームでは、ビッグデータの活用による機械学習やディープラーニングなどの研究・開発が行われ、この技術とロボット技術との組み合せにより、さまざまな分野で作業効率化を実現しています。

AIはDXとの関係から、今後さらなる進化が期待されています。DXとは、デジタル技術の力を借りて、市場に新しい価値を提供していくことです。グローバル化や消費者ニーズの多用化など、現在の厳しい市場環境のなかで生き残っていくために、企業の規模や業種を問わず、DXが必要とされているのです。

DXの実現に活用される技術には、IoTやビッグデータなどさまざまなものがありますが、AIもそのひとつといえます。

DXについて詳しくは、「【徹底解説】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?必要性から成功事例まで」を、DX実現に必要な技術については、「DXを支える技術とは?技術を生かしてDXを推進するために必要な人材も紹介」、「DX実現に必要なテクノロジーとは?種類や活用事例を紹介」をご覧ください。

業種別AI導入事例紹介

AIの導入事例について、業種別に紹介します。

金融業

金融業では、商品に対する相談や新規契約・解約の申し込みなど、さまざまな電話での問い合わせがコールセンターに寄せられます。通常は、オペレーターがひとりで顧客に対応するため、聞きもらしが起きることがあり、通話は録音されているものの、管理者が対応状況のすべてを把握することは困難でした。

そこで、AIにオペレーターの通信支援をさせて、コールセンター全体の電話対応のサービス品質向上に活用しています。具体的には、AIが通話音声をリアルタイムでテキスト化し、聞きもらしを防ぐための支援します。通話状況が見える化され、各オペレーターの通話時間や通話後の後処理にかかる時間、対応状況などを、管理者が把握できる体制も整いました。

水産業

水産業では、漁獲量予測システムによる高精度の漁獲量予測を用いて、効率的な収穫を実現しています。

漁では魚群探知機を使いますが、そこで得られるデータを見極めるのに、漁師の経験や勘に頼る部分が多い状況にありました。

そこで、AIに気象、潮流、塩分濃度などの条件を入力し、漁に必要な情報を多角的に収集させました。収集された情報をもとに、漁師の経験や勘に頼ることなく、効率的な収穫が可能となりました。

不動産業

不動産業では、マンションの価格査定算出にAIを活用しています。マンションの価格査定は、過去の売買事例から類似データを抽出することで算出します。当然、1件や2件では正確な査定ができず、顧客への説得力もないため、複数の事例を調査しなくてはいけません。膨大なデータの抽出と分析に労力が必要となり、大きな負担を伴う作業となっていました。

そこにAIを導入し、過去の売買事例のデータからマンション相場額を覚えさせ、価格査定の自動化を実現しました。その結果、労力をかけずに相場価格の算出が可能となり、業務の効率化が実現しました。

業種別AI活用事例!DXとの関係やAIによって進化した技術も紹介」では、物流業、製造業、小売業、農業、建設業の事例を紹介しています。あわせてご覧ください。

技術別AI導入事例紹介

続いて、技術別のAI導入事例を紹介します。

異業種間データの活用による高精度の需要予測

下記3つのデータをAIで分析することで、小売・飲食業界向けの需要予測を実施するサービスが提供されています。

  • 人流統計データ
  • 気象データ
  • 企業の来客データ

同サービスの本格リリース前にドラッグストアにて実証実験を行ったところ、来店客数の平均予測精度は93%を達成しました。

企業は店舗ごとに商品発注数や勤務シフトを調整しますが、このサービスの活用により、来店客数に応じて適正化された発注やシフト作成が可能となりました。異業種間のデータをAIに学習させて統合することで、新しい価値の創造を実現した例です。

ほかの技術との組み合わせによる高精度の異常検知

不良品の検知に対し、マルチモーダル学習(※)や光学技術を組み合わせることで高い精度での検知を実現し、さまざまな業界で活用されています。

これまでの画像処理だけでは傷と汚れの区別がつけにくく、不良品の検知にバラつきが生じていました。しかし、光学技術により人の目では発見が難しい異物や異常までをも検知が可能になったのです。また、マルチモーダル学習により、輪郭や色など、人の五感に近い形での高精度の検知が実現しています。

(※)マルチモーダル学習:画像だけでなく、動画や音声、構造など関連するデータを学習させ、なおかつそこから抽出した輪郭・色などの特徴も学習させる方法。

店頭の品ぞろえを最適化

売上最大化を目的に、数理最適化技術を活用することで、店頭商品の最適化をするAIの事例です。膨大な商品のなかから、売上最大化を実現する最適な組み合わせを自動算出するとともに、店頭から下げても売上に影響しにくい商品を選定できるようになりました。売り場の生産性向上と質の高い顧客体験の提供により、売上増加を実現しました。

事例を通してAIについて理解を深め、DX推進へと生かそう

AIにはこれまでにない価値を生み出す可能性があり、すでに、さまざまな業種の業務最適化のために導入されています。継続して研究・開発が進められており、AIは今後いっそう進化していくことでしょう。

また、AIはDX推進に向けて積極的に活用したい技術のひとつでもあります。

多くのAI導入事例に触れることは、DX実現へのヒントとなるかもしれません。さまざまな事例をヒントに、ビジネスに活用する方法を検討してみてはいかがでしょうか?